2010年10月23日

ツイッターノベル10/12〜10/18

200編突破を機に、とりあえずテーマを決めて書くことにした。第一回(10/15〜)は美術、画家、絵、そういったもの。あまり何十編も書きすぎても薄まっていくばかりと思うので、一週間なり十日なりでテーマは変えるつもり。


10/12 199
 待ち合わせ場所である駅前の観光地図前にはいつも黒ぶちの猫がいる。「猫横」「猫前」と彼女はメールで居場所を報せてきた。「猫下」の時、彼女は猫を頭に乗せていた。ある日「猫中」というメールは来たものの、彼女は来なかった。いつもの場所には腹を膨らませた猫がいるだけで。

※ツイッターのバグで、たまに自分の発言が削除もしてないのに消えることがある。ツイッターノベルはすぐに別途保存しておかないと、文体やらリズムやら忘れてしまい、再現が不可能になる。この一編は一度消えたのを思い出しながら書いたので、初稿とは文体も味わいも相当変わってしまっている。

10/13 200
 鼻毛を抜こうとして鼻の穴に指を突っ込んで鼻毛を引っぱると鼻毛が抜けた、という内容のメールを友人に送ったら激怒された、という話を誰かとしていた。誰だったか思い出せなくて、携帯の発信内容をチェックしているとまた鼻毛を抜かなければいけないような気分になり、抜いた。

※編数は後でまとめる時につけてるので、これが記念すべき200編目という意識はなかった。よりによってこれが、という非劇。

10/14 201
「嘘月」とか「死にたがりの月」と呼ばれる天体現象がある。真昼に太陽を追って月が動き、太陽と重なると共に消えてしまう。本物の月は夜に出る。うっすらと見えるこの月の模様は兎などではなくどことなく人の顔に見える。稀にしか現れないが、その日は極端に自殺率が高まるという。

※現在村上春樹「1Q84」読書中。

10/15 202
 画家の名前が出てこないことがある。絵の印象は言葉より強い。首が長くて白目で、と説明出来てもモディリアーニという名前は後から思い出す。特に画風の割に名前が穏やかなルオーは、ゴテゴテのタッチで宗教画を描く人、という認識で、最近はもう「ゴテゴテ」でいい気がしている。

※ここからテーマを美術関係に絞ってしばらく書いてる。
ゴテゴテの人。
gote.jpg

10/16 203
 高校生の頃、美術教師に告白したことがある。大人をからかうんじゃないよ、と当然振られたが、今思うにあれは恋ではなく、彼女に描かれたいという願望の現れだったのかもしれない。彼女は人物画を一切描かなかった。よく解らないなりに彼女の絵が好きだった。絵筆を握る彼女の指も。

10/17 204
 蝙蝠が消えた。夕刻になると虫を求めて群れて飛び回っていた彼らを、突然見なくなった。/黒く彩られた「ブラマンクの小径」では、黒い衣服に身を包んだ恋人達が溶け合っている。/蝙蝠の消えた空にも時折羽音が響く。食べてくれる者がいないので虫達は狂ったように飛び回っている。

※ブラマンクが好きです。
vu.jpg


10/18 205
 源氏名を夢二といった。竹久夢二の描く美人画が好きなのだと女は言った。最初のギャル風の化粧から、会うたびに印象が変わっていった。黒髪になり、和装になり、猫を抱き、目が垂れていった。ある日女は消えた。事情は聞かなかったが、以来店には夢二の絵の複製画が飾られている。

※竹久夢二の美人画yume.jpeg

これ、毎回参考画像貼るととてつもなく面倒なことになっていくんじゃないか。


posted by 泥辺五郎 at 13:46| Comment(0) | TrackBack(0) | ツイッターノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月17日

ツイッターノベル10/5〜10/11

まとめるの忘れがち。既に二百本越えたのでどうしようか迷いつつ、とりあえず週ごとにテーマを決めて書くとか、連作のような形を試みるとかしてみるつもり。


10/5 192
 タイピング・ジャンキーズは朝に弱い。夜中に激しく指を動かしていればなかなか寝付けるものではない。ブログを更新し、ツイッターで呟き、掲示板に書き込み、小説執筆に流れ着く。指が動く限り書き続ける。彼らを、いや、僕らを中毒から解放する手段は今のところ見つかっていない。

10/6 193
 朝起きると隣には誰もいなかった。外へ出ると家の前の工事が終わっていた。電車に乗り込むと毎日見かけるお婆さんを見なかった。会社に着くと同僚が病気で休んでいた。人はいなくなる。人は消えていく。その事情に僕は触れられない。また今日も名前も知らない誰かと家に帰り、眠る。

10/7 194
 シュレディンガー・ボックス帰りの人達の生きているか死んでいるか分からない目付きを、うちの飼い猫ミミは敏感に感じ取って恐れている。早い内に入っておかないと結婚出来ないと母は急かせるが、私の結婚と猫の幸福とどちらが大事かなど比較するまでもない。ミミは耳を塞いでいる。

10/8 195
 フリアは僕が書いた脚本に目を通すと、マッチで火をつけて喫茶店の床に落とす。彼女は煙草をくわえてかがみ込み、燃える脚本から煙草に火をつける。おめでとう、あなたの作品は立派なライターになりました、と彼女は言った。店員に警察へ通報されてえらいことになった。楽しかった。

※リョサのノーベル文学賞受賞を受けて。『フリアとシナリオライター』面白いよ!

10/9 196
 鼻の横に出来たニキビが治らないので病院に行くと手術しなければと医者がいう。それほどの事じゃない、いや今すぐ、と押し問答の末、折衷案として脇腹にある大きなホクロを取ってもらうことにした。医者は喜びのあまり腹の肉も少し削いだ。ニキビは翌朝弾けて胞子を飛散させていた。

10/10 197
 その日僕らは山荘風の美術館に行ってシャガールの絵の前で色欲について論争したり、二度と食べたくないと思える餃子を食べたり、少しばかり冒険してアナルセックスをしたりしたのだが、彼女の感想は「待ち合わせ場所にいた猫、可愛かったね」の一言だった。僕もずっとそう思ってた。

10/11 198
 昨日轢き殺されていた猫は今日も轢き殺されたままだった。雨は降らず、人も通らず、ついばむ動物たちさえいないらしい。蠅もたかっていないその死骸は下半身が平らになっている以外は生きているようで、苦悶の表情もなく眠っているようだった。まるで今にも起き出して、あ、起きた。

posted by 泥辺五郎 at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | ツイッターノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月08日

ツイッターノベル9/29〜10/4

リョサのノーベル文学賞受賞を記念して『フリアとシナリオライター』の文庫化を希望したいけど国書刊行会だから無理だろうなあ。

9/29 185
 している最中に萎えてしまう。目の前に若くて綺麗な女の裸があるにもかかわらず、ゴムが外れるほどしぼんでしまう。服装を変えてみた。相手を変えてみた。男にも挑戦した。薬も飲んだ。そうして七日目には勃つことすらしなくなった。眠ることを忘れていた。眠るとめでたく夢精した。

9/30 186
 ランゲルハンス島の午後は赤い。血のような夕焼けが空を染め、赤い羽根を持つ名のない鳥が空を埋める。酒以外の娯楽を知らない島民達の頬が赤らみ、そのうち何人かは血を吐く。酒も飲めず、肌も白い私に島民は優しくしてくれる。だから殴り合って血を流すことも出来ないでいる。

※ここから本の題名から着想シリーズ。村上春樹『ランゲルハンス島の午後』

9/30 187
 私たちに許された特別な時間の終わりは思っていたよりもずっと早くやってきた。それは互いの両親の来訪であり、警察の包囲であり、その上を飛ぶミサイルであった。それらはほぼ止まっているようにゆっくりと動いていたので私たちは口づけを交わせたが終わることに変わりはなかった。

※岡田 利規『わたしたちに許された特別な時間の終わり』

10/1 188
 生きてるものはいないのか、生き残っているものは、と叫びながら焼け跡を彷徨う。時折手が上がる、声が起こる。駆け付けて行ってとどめを刺してやる。金目の物があれば頂いておく。次第に残り火のチリチリという音しか聞こえなくなる。それでも繰り返し叫ぶ。何故まだ生きている。

※前田司郎『生きてるものはいないのか』

10/2 189
 夜中に台所で僕は君に話しかけたかった。夜明けの布団の中で僕は君に抱きつきたかった。真昼の牧場で僕は君に撃ち殺されたかった。夕方どこかのビルの屋上で僕は君と夕陽に焼かれたかった。どれもが叶わなくなった今、腹を空かせた僕は台所へ向かう。君はいなくても声はこぼれる。

※谷川俊太郎『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』

10/3 190
 握っていた手が冷たくなった。寒くなってきたから、と言うが彼女はもう死んでしまったのだと実感が湧いてきた。眠うて、お腹壊して、明日早いから、ととりとめのない言葉を続ける彼女が明日の朝起きることはもうないのだ。あったかいねえ、熱あるの? と言うが僕の平熱は34℃で。

10/4 191
 体に撃ち込まれた銃弾を取り出して、ネックレスやイヤリングに加工する仕事をしていた事がある。戦争帰りの若者やマフィアや変態が主な顧客だったのだが、店の前を通りかかり、衝動的に「撃ってくれ」と飛びこんでくる客もいた。そううまく加減出来るはずもなく、七人ほど失敗した。
posted by 泥辺五郎 at 08:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ツイッターノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。