2010年10月17日

ツイッターノベル10/5〜10/11

まとめるの忘れがち。既に二百本越えたのでどうしようか迷いつつ、とりあえず週ごとにテーマを決めて書くとか、連作のような形を試みるとかしてみるつもり。


10/5 192
 タイピング・ジャンキーズは朝に弱い。夜中に激しく指を動かしていればなかなか寝付けるものではない。ブログを更新し、ツイッターで呟き、掲示板に書き込み、小説執筆に流れ着く。指が動く限り書き続ける。彼らを、いや、僕らを中毒から解放する手段は今のところ見つかっていない。

10/6 193
 朝起きると隣には誰もいなかった。外へ出ると家の前の工事が終わっていた。電車に乗り込むと毎日見かけるお婆さんを見なかった。会社に着くと同僚が病気で休んでいた。人はいなくなる。人は消えていく。その事情に僕は触れられない。また今日も名前も知らない誰かと家に帰り、眠る。

10/7 194
 シュレディンガー・ボックス帰りの人達の生きているか死んでいるか分からない目付きを、うちの飼い猫ミミは敏感に感じ取って恐れている。早い内に入っておかないと結婚出来ないと母は急かせるが、私の結婚と猫の幸福とどちらが大事かなど比較するまでもない。ミミは耳を塞いでいる。

10/8 195
 フリアは僕が書いた脚本に目を通すと、マッチで火をつけて喫茶店の床に落とす。彼女は煙草をくわえてかがみ込み、燃える脚本から煙草に火をつける。おめでとう、あなたの作品は立派なライターになりました、と彼女は言った。店員に警察へ通報されてえらいことになった。楽しかった。

※リョサのノーベル文学賞受賞を受けて。『フリアとシナリオライター』面白いよ!

10/9 196
 鼻の横に出来たニキビが治らないので病院に行くと手術しなければと医者がいう。それほどの事じゃない、いや今すぐ、と押し問答の末、折衷案として脇腹にある大きなホクロを取ってもらうことにした。医者は喜びのあまり腹の肉も少し削いだ。ニキビは翌朝弾けて胞子を飛散させていた。

10/10 197
 その日僕らは山荘風の美術館に行ってシャガールの絵の前で色欲について論争したり、二度と食べたくないと思える餃子を食べたり、少しばかり冒険してアナルセックスをしたりしたのだが、彼女の感想は「待ち合わせ場所にいた猫、可愛かったね」の一言だった。僕もずっとそう思ってた。

10/11 198
 昨日轢き殺されていた猫は今日も轢き殺されたままだった。雨は降らず、人も通らず、ついばむ動物たちさえいないらしい。蠅もたかっていないその死骸は下半身が平らになっている以外は生きているようで、苦悶の表情もなく眠っているようだった。まるで今にも起き出して、あ、起きた。



posted by 泥辺五郎 at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | ツイッターノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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