2010年10月08日

ツイッターノベル9/29〜10/4

リョサのノーベル文学賞受賞を記念して『フリアとシナリオライター』の文庫化を希望したいけど国書刊行会だから無理だろうなあ。

9/29 185
 している最中に萎えてしまう。目の前に若くて綺麗な女の裸があるにもかかわらず、ゴムが外れるほどしぼんでしまう。服装を変えてみた。相手を変えてみた。男にも挑戦した。薬も飲んだ。そうして七日目には勃つことすらしなくなった。眠ることを忘れていた。眠るとめでたく夢精した。

9/30 186
 ランゲルハンス島の午後は赤い。血のような夕焼けが空を染め、赤い羽根を持つ名のない鳥が空を埋める。酒以外の娯楽を知らない島民達の頬が赤らみ、そのうち何人かは血を吐く。酒も飲めず、肌も白い私に島民は優しくしてくれる。だから殴り合って血を流すことも出来ないでいる。

※ここから本の題名から着想シリーズ。村上春樹『ランゲルハンス島の午後』

9/30 187
 私たちに許された特別な時間の終わりは思っていたよりもずっと早くやってきた。それは互いの両親の来訪であり、警察の包囲であり、その上を飛ぶミサイルであった。それらはほぼ止まっているようにゆっくりと動いていたので私たちは口づけを交わせたが終わることに変わりはなかった。

※岡田 利規『わたしたちに許された特別な時間の終わり』

10/1 188
 生きてるものはいないのか、生き残っているものは、と叫びながら焼け跡を彷徨う。時折手が上がる、声が起こる。駆け付けて行ってとどめを刺してやる。金目の物があれば頂いておく。次第に残り火のチリチリという音しか聞こえなくなる。それでも繰り返し叫ぶ。何故まだ生きている。

※前田司郎『生きてるものはいないのか』

10/2 189
 夜中に台所で僕は君に話しかけたかった。夜明けの布団の中で僕は君に抱きつきたかった。真昼の牧場で僕は君に撃ち殺されたかった。夕方どこかのビルの屋上で僕は君と夕陽に焼かれたかった。どれもが叶わなくなった今、腹を空かせた僕は台所へ向かう。君はいなくても声はこぼれる。

※谷川俊太郎『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』

10/3 190
 握っていた手が冷たくなった。寒くなってきたから、と言うが彼女はもう死んでしまったのだと実感が湧いてきた。眠うて、お腹壊して、明日早いから、ととりとめのない言葉を続ける彼女が明日の朝起きることはもうないのだ。あったかいねえ、熱あるの? と言うが僕の平熱は34℃で。

10/4 191
 体に撃ち込まれた銃弾を取り出して、ネックレスやイヤリングに加工する仕事をしていた事がある。戦争帰りの若者やマフィアや変態が主な顧客だったのだが、店の前を通りかかり、衝動的に「撃ってくれ」と飛びこんでくる客もいた。そううまく加減出来るはずもなく、七人ほど失敗した。


posted by 泥辺五郎 at 08:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ツイッターノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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