「泥辺五郎短編集」に短編二本追加。
「ちんちんにリング状の爆弾を巻き付けられた話」(原案 静脈先生)
ちなみに原案は
「男にとっての大切な部分に、リング状の爆弾を仕掛けられてしまう。主人公は高校生。思春期特有の奔放なる性を必死の思いで押し止めて爆弾を外そうとする。だが、そんな彼に次々と襲いかかる性的場面。結末同性愛。劇終」
といった感じのものでした。
具体的なイメージが書かれてあったので非常に速く書けました。実質三十分ぐらいじゃないだろうか。主人公が高校生とか、ラストがゲイとか、書き出してすぐに忘れてしまった設定もあるけれど。
今読むと、作風や言葉遊びにいたるまで、まるで事細かに指示があったかのように思えるから不思議です。
「山に惑う」
山の中で熊さんと友達になるハートフルメルヘン。
一時間ほど一人で狭い山道を歩いていたら「ここで熊と出くわしても会釈してすれ違えそうだなあ」と思ったので出来た話。初めはモロに古井由吉の文体で、仮につけたタイトルも「山躁賦」だったりしたが、やりすぎると自分も冷めてしまうので手直しして題も改める。それでも文体の影響は多々あるけれど。
ところで、推敲って大変じゃないですか。
単純な誤字脱字の修正から始まり、文体や表記の統一やら、その他諸々。修正した部分が原因で他の文章にまで違和感が広がったりして。何度も読みすぎてもう何が面白いのかなんてわからなくなっちゃって。
それでようやく完成させてアップさせた後、念の為確認すると、最初から全然問題ないと思って軽く流し読みしていたところに馬鹿みたいな間違いが見つかっちゃったりして。
そんな推敲作業を楽にする方法を最近見つけました。以前丸山健二の本でも読んだことはあったけど。
自分の書いた文章を単純に一から全文打ち直すんです。
一見大変に思えますが、前述のように何度も何度も読み返すよりも効率は良いかもしれません。更新一回分ならせいぜい4000文字程度、大した労力でもありません。
間違いを修正しやすいし、間違っているわけではないけれどもっと表現を工夫した方がいいところにも自然に手を入れられる。何より文体の統一が取りやすい。
さらにタイピング・ハイとでも呼べるような、高揚した気分になり、推敲を重ねていくうちに陰々滅々としていく気分から逃れられることも大きい。
もちろん書き写し終えた後、誤字脱字誤変換は調べなきゃいけないんだけど。
でもこれって、最初からほとんど直すところのない文章を書ける人にとってはただの二度手間でしかないんじゃ、とも思いつつ。