2010年11月20日

ツイッターノベル223〜229 テーマ「衣服」

ふらふらした浮き草貧乏から低賃金ながらも安定貧乏へと移行出来そうです。体と心を痛めないように気をつけていればどうにかこうにか生きていけます、多分。

11/5 223
 黒い靴はよくないよ。影や夜の地面との境目が曖昧になるから。黒いスーツに黒い革靴の人達は半分闇に溶けちゃってる。歩くのにも生きるのにも大した支障はないのだけれど、稀にふっといなくなる人もいる。明るい色の靴を履いてね。昼間になら、溶け込んでもまだ見つけ出せるから。

11/6 224
 ベランダ間にある仕切りは非常時には打ち破ってもいいのだが、隣の奥さんにとっては「ベランダに物を置きすぎて洗濯物が干せなくなった」が非常事態だったらしい。以来彼女は布団も下着も遠慮なくうちの方に干す。旦那とプチ野外プレイを楽しむこともあり、時には僕も呼ばれる。

11/7 225
 祖父はかつらのことを「帽子」と呼んでいた。本当の帽子を被ると、脱がなければ失礼な場面もままあるが、かつらならいつでもどこでもつけていられるから。戦争中、頭に重症を負い、酷い傷痕が残り髪の毛も生えなくなってしまった祖父は、七種類のかつらを作って人生を謳歌していた。

11/8 226
 古着屋に古着を買いに来る客は当然身なりを古着で固めていることが多いため、どこか似た雰囲気がある。いい古着は見つからなかったものの、客の着ている古着がどうしようもなく欲しくなることもしばしば。その際は相手も同様の気持ちでいたならばその場で脱いで交換することも多い。

11/9 227
 平凡な肩紐かけのエプロンなのに、片方の紐がずれ落ちているだけでキャミソールに見えてくる。服の上から着ているのに、服の下の裸も知っているのに、紐がずれただけでどうしてこんなに興奮出来るのか。「裸エプロンでもしてほしいの?」と彼女が聞く。違う、そのままでいいんだ。

11/10 228
 うちの畑のカカシには様々な衣装を着せている。学ランを着せても無反応だったのに、セーラー服を着せると苦情が殺到した。アニメのコスプレをさせてネットで話題になったことも。この間の台風でカカシの服が全て吹き飛ばされると、彼らは胸と股間を隠すように竹製の手を曲げていた。

11/11 229
 ガラスが割れ、長針もなくなり、動かなくなった腕時計を眺めている。僕の腹を撃った男がしていた腕時計はきっと防弾仕様になっていて、簡単には壊れたりしないだろうな、なんてどうでもいいことを思う。動かない時の中でも僕の腹からとめどなく血がこぼれていく。もう、時間はない。




posted by 泥辺五郎 at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ツイッターノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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