2010年11月11日

ツイッターノベル202〜208 テーマ「美術」

忙しかったり忘れてたり、書き方を変えたからまとめ方もどうしようかとか考えてるうちにものすごい時間が経っていてびっくり。世界のどこかにこのブログの読者がおられたのならごめんなさい。

ツイッターノベル200編突破を機に、一週ごとにテーマを決めて書いています。
現在「美術」「人体」「男娼」「衣服」と続けており、ひとまずテーマごとに記事もまとめていくので、前回の記事と被る作品もありますが、アップしていきます。
書き上がってる分に際しても、あまり日を空けずに更新していく予定。


10/15 202
 画家の名前が出てこないことがある。絵の印象は言葉より強い。首が長くて白目で、と説明出来てもモディリアーニという名前は後から思い出す。特に画風の割に名前が穏やかなルオーは、ゴテゴテのタッチで宗教画を描く人、という認識で、最近はもう「ゴテゴテ」でいい気がしている。

10/16 203
 高校生の頃、美術教師に告白したことがある。大人をからかうんじゃないよ、と当然振られたが、今思うにあれは恋ではなく、彼女に描かれたいという願望の現れだったのかもしれない。彼女は人物画を一切描かなかった。よく解らないなりに彼女の絵が好きだった。絵筆を握る彼女の指も。

10/17 204
 蝙蝠が消えた。夕刻になると虫を求めて群れて飛び回っていた彼らを、突然見なくなった。/黒く彩られた「ブラマンクの小径」では、黒い衣服に身を包んだ恋人達が溶け合っている。/蝙蝠の消えた空にも時折羽音が響く。食べてくれる者がいないので虫達は狂ったように飛び回っている。

10/18 205
 源氏名を夢二といった。竹久夢二の描く美人画が好きなのだと女は言った。最初のギャル風の化粧から、会うたびに印象が変わっていった。黒髪になり、和装になり、猫を抱き、目が垂れていった。ある日女は消えた。事情は聞かなかったが、以来店には夢二の絵の複製画が飾られている。

10/19 206
 窓から射す陽光が油絵を痛めつけている。カヴァーをかけないと、起き上がらないと、と思う。でも体はベッドから動けずにいる。全身が重い。もういいや、絵はもういい、私の絵は誰も幸せにしてこなかった、私も含めて。もう一度眠る。夕方にはカーテンを閉じて再び絵筆を握っている。

10/20 207
 探している絵がある。以前金に困って売り払った画集に入っていたものらしい。買い取ってくれた古本屋は昨年潰れた。ポーランドかルーマニアの画家の作品で、柔らかくおぼろげなタッチでロマの女を描いたものだった。うまく思い出せないから忘れられないでいる。幸福な夢のように。

10/21 208
 美術部を引退する際、後輩達から寄せ書きの絵画版、「寄せ絵」を貰った。一枚のカンバスに各々の笑顔が描かれている。隙間には美術室の風景や私の横顔が見えた。一部空白があるのは、長期入院している後輩の分だった。空白は二年後、美大で再び私の後輩となった彼が埋めてくれた。



posted by 泥辺五郎 at 18:21| Comment(0) | TrackBack(0) | ツイッターノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。