2010年07月14日

ツイッターノベル7/7〜7/13

百編越えたのでこの次の記事でなんやかんや書きますね。


7/7 099
 病んだ父の乗った古い車両が切り離されるのを見送り、私らは前の車両へと住み処を移す。電車で産まれ、電車で育った。窓の外に映る景色を指し「何で私らは降りられへんの?」と母に訊く。固く締められていた窓を、母は少し開けた。景色は偽りだった。外には何もなかった。全く何も。

7/8 100
これまで書いてきたツイッターノベルが百編を越えたので、日本ツイッターノベル協会に正式に入会してきました。各種イベントへの出演資格を得ましたので、早速恒例の「路上ゲリラツイノベ」に次の日曜参加します。緊張して百五十字くらい書いて即退会なんてことになりませんように。

7/9 101 
甲子園のグラウンドに十年振りに降り立つ。高校球児だった頃、死に物狂いで辿り着いた大舞台では一回戦で敗退した。最終回に代走で出たが、牽制球で刺されて試合が終わった。あの頃と違うのは、僕が全裸で、警備員が多数追いかけてきていることだ。三塁コーチ! 腕を回してくれよ!

7/10 102
恋人が傘なのでこの季節は助かる。二人で歩いている時に急な雨に降られると、彼女を持ち上げて開く。広げた彼女を見上げると、恥ずかしがって柄でぶたれるが、それはそれでいいものだ。部屋に帰って彼女の体を拭きながら、明日の天気予報を観る。また雨だ。だから一緒に出かけよう。
 
7/11 103
ちりめんじゃこの中には時々小さな蛸や蟹などが入っていることがあり、いわゆる「ちりめんモンスター」と呼ばれて密かに人気がある。中でも河童、青龍、鯨の子などレアモンスターはオークションに出され、高値で取引されることもある。幼人魚なら三匹持っているが価値は百円程度だ。

7/12 104
傘のことを完全に失念して電車を降りたのに、鞄の紐に柄が引っかかって自然とついてきてくれた。こんな風に、忘れてしまっていたはずのことも、心のどこかに引っかかっているのかもしれない、なんて話に結び付けようかと思ったけどそんなことどうでもいいよ傘が可愛いよ可愛すぎる。

※ただのノンフィクション

7/13 105
引き揚げられた女性の水死体からは、孕んでいたかのように小さな蟹が飛び出してきた。彼女を網に引っかけた漁師は蟹を摘むと口に放り込み、バリバリと噛み砕いた。「めったに食えるもんじゃねえぞ」と勧められたが首を振った。半ば液体化した彼女の腹の中で海蛇の子が泳いでいた。


posted by 泥辺五郎 at 20:46| Comment(0) | TrackBack(0) | ツイッターノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月08日

ツイッターノベル6/30〜7/6

この週は大体フィクションです。

6/30 091
 以前務めていた会社には、老若男女区別せず関係を持つ両刀使いの美形中年がいて、会社中が彼の虜でした。しかし私にだけは手を出してくれないので理由を問うと、「だって君は、去年死んだじゃないか」とのこと。それが辞職の理由でした。はい、今まで死んだことは一度もありません。

7/1 092
 仲の良い友人達が次々と転校していく悪夢を見た。そんな私を気遣ってか、仲の悪い男子がかけてくるちょっかいにはどこか優しさが混じっていた。目覚めて気付く。あの頃の友人とはもう誰とも連絡を取っていない。夢に出てきた意地悪な男子だけが今私の隣で眠っている。つつくと唸る。

7/2 093
 あなたにぴったりの結婚相手を紹介します。それではあなたの年齢、容姿、経歴その他をお伺い致します……はい、ええ、わかりました。ではこちらのお方、背は高く顔も良し、ただギャンブルで借金が五千万円あります。もう一人はなんとお医者様、でした。末期癌であと半月の命です。

7/3 094
 「ゲルググ組み立てていきなはれ」京都の親戚宅に遊びに行った際、叔母から出されたガンプラに、そろそろ帰れという意味が込められているとは知らず、僕は喜んでMGゲルググを組み立てた。次にグラブロ、ブラウ・ブロも。僕がプロモデラーになれたのは叔母のおかげといっていい。

※新都社連載中の吉田向日葵先生作「クソモデラー珍作」が面白いよ!

7/4 095
 今朝も妹の「お兄ちゃん、おっきろー!」という声で起こされた。今年で四十歳になる妹には夫も子供もいる。そこに同居している自分は無職なのだが、妹萌えの同人漫画を描いて少しばかりの金を家に入れている。私を起こした後の妹は醒めた目付きで「締切、明日や」と原稿を催促する。

※ムラムラオ先生が「ひたすら妹とイチャイチャする話が読みたい」というので。

 096
 君の人生は野球の試合に喩えるならまだ五回裏が終わった辺りだ。大差で負けていても挽回出来る。逆に勝っていてもまだ気を緩めるところじゃない。投手が疲れ始め、打者が球筋を掴みだした頃だ。観客は一息ついてビールとおつまみを注文する。だからつまり、今晩飲みに行きませんか。

7/5 097
 お笑い好きの彼女と話していると、「ブラックマヨネーズの格好いい方」に対する認識が真逆で困る。彼女は薄毛でぽっちゃりとしている方が男前だと言い張るが、僕は長髪で髭を生やしている笑い飯の西田(ボケ担当)の方が格好良く思えるのだ。途中で人違いに気づいたけど押し通すよ。

7/6 098
 老大家の作品が、奇抜さ狙いの若者の作よりずっと先鋭化、過激化するのは、これが最後の作品かもしれないという覚悟とともに世に送り出しているから。その後の人生を考えなければ批判も失敗も怖くはない。と主張する作家志望の友人は、まず歳を取るよ、と言って何も書こうとしない。
posted by 泥辺五郎 at 11:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ツイッターノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月02日

ツイッターノベル6/23〜6/29

この週はほぼ日記でした。


6/23 084
 隣国ジンバブエから亡命してきた少年は、南ア中に鳴り響く音を蠅の大軍の羽音と錯覚した。巨大な糞にたかっているのだろう、皆その糞を見物に来ているのだろう、と。ブブゼラを持つ少女が通りかかったが、彼女はうまく鳴らせずにいたので、少年は音の元がそれだとは気付かなかった。

※ムラムラオ先生の出されたお題「ブブゼラ吹きの少年少女」を短編小説に仕上げるつもりが力尽きて、ツイッターノベル化したもの。

6/24 085
 久し振りにジャンプを立ち読みしたら、こち亀がまだ続いていたので驚いた。「てんぎゃん」はいつの間にかバトル漫画になっており、南方熊楠が金髪になっていた。山下たろー君はメジャーリーガーに。新しく始まったちばあきおの野球漫画が、汗臭くて真っ直ぐで、これからが楽しみだ。


ちばあきお(1943-1984)

6/25 086
 ツイッターノベルを書く際には最低でも一時間はかけている。一編の完成までに十編の没作品があり、時事ネタの場合はネタ被りがないか必ず調べる。だが「これしかない」という決定的なネタが閃いた時は躊躇わず一気に書き出す。そして「#twのう゛ぇl」と打ったところで我に返る。

※ハッシュタグ「#twnovel」を誤って全角で打つと「#twのう゛ぇl」となる。

6/26 087
 今年もまた空から梅が降る。緑色の実が地面に落ちず、梅干農家の張る網に受け止められたらやがて酸っぱい梅干に、田畑に落ちれば肥料となる。他の実は鳥や虫の餌になり、それらを喰らう獣と人を太らせる。梅雨という季節があるから、我々はこんな国でもどうにか生き延びていられる。

6/27 088
「君は一人じゃない」といった手垢まみれの言葉を色紙に書いて道端で売っている若者がいたが、客は一人もいなかった。しばらくすると彼の色紙には「みんな一人」「誰も君を救わない」「人類皆平等 全員死ぬんだもの」といった言葉が並んでいた。相変わらず売れている様子はない。

6/28 089
 夜、地下の食堂街を歩いていると、酒の香りにやられてそれだけで少し酔う。空気酒をお供に、適当に入った店で串カツを三本頼み、あとはひたすらキャベツを食らう。水しか呑まないのに酔っている私を、おかしな目で見る女性店員には眉毛がない。幸せだ。でも何故僕は泣いているんだ。

6/29 090
 文芸ワールドカップ決勝、日本代表は村上春樹が中盤を支配するものの、得点は奪えずにいた。0-0で迎えた後半残り五分、日本は決勝まで温存していた、まど・みちおと谷川俊太郎の両詩人を投入する。「五分か。長いな」まどの言葉に谷川が頷く。二人の言葉がフィールドを蹂躙する。


posted by 泥辺五郎 at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ツイッターノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。