2010年05月18日

ツイッターノベル5/12〜5/18


100編越えたらお気に入りベスト10選ぼうかとか、似た系統の作品には「〜系」とか名付けて分けていこうか、などと考えながらも、考えるだけ。
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5/12
 誰のために小説を書いているのか分からなくなる時がある。いつか尊敬する作家に読んで貰うため? 両親だとかあるいは自分、もしくはあなた。そのどれでもなくて。どれでもよくて。書く理由なんて最早見失ってるのに、名前を変えようが場所を変えようが結局小説を書き続けている。

5/13
 近所の図書館に新しく入った司書は盲目の老人で、名札には「アルバイト ぼるへす」と記してあった。似た風貌の同名の作家を知っているなあと思いながら「ネクロノミコンありますか」と尋ねると、「アルゼンチンの実家に一冊ありますが、この図書館には置いてないです」と謝られた。

※(作家平野啓一郎氏のツイートで、ミックジャガーが道ばたでボルヘスを見かけ「僕はあなたのファンです!」と言って駆け寄ったというエピソードを読んで。ちなみにボルヘスはピンクフロイドが好きだったとか)

 国境線を飛び越えて遊んでいた僕と妹を当時の両国の警備兵達は笑って眺めていた。密輸人達も軽い会釈をして通っていた。僕が憧れの国境警備兵となった今、両国はかつてない緊張感に包まれており、今日も越境者を射殺した。それは妹ではなかった。妹を撃ったのは先月のことだから。

5/14
 昔飼っていた猫との間に出来た子供を猫息子と名付けて人のように猫のように扱いながら暮らしている。どちらかというと猫だ。夜中に徘徊し、熱いものは苦手で、マタタビに弱い。他の人の話を聞くと口を揃えて「成人する頃には立派な人間になるよ」と言うのだが、それはそれで寂しい。

5/15
 五月といえば鯉乗りの季節だった。飼い慣らした鯉の群れの上に我が子を乗せ、どこまで水面を滑って行けるかという行事。別名「子祈り」とも呼ばれた。人を乗せられる鯉がいなくなったこと、大半の子供は溺れてしまうことなどを理由に廃れた。僕の記録は三十センチだったそうだ。

5/16
 橋の上を通る人や車や猫の音を聞きながら眠るでもなく起きるでもなく生きるでもなく過ごしていると芋虫が顔の上を這った。葉を摘んできたりして一緒に暮らした。やがて蛹になり、孵化して蝶となり橋の上へと飛び去って見えなくなった。足音と違って、蝶の羽音は聞こえてこない。

5/17
 僕がまだヘビーメタルヒッピーズだった頃、ギターは速弾き、ボーカルはハイトーン、ドラムはツーバスが大事だと盲信していた。今なら「ベースは物語を紡げる人」「キーボードはギタリストの我儘を受け入れられる人」など追加出来る。でも今の僕の髪は短く、ギターの弦も錆びていて。

※(ロニー・ジェイムス・ディオの訃報を聞いた日に)

5/18
 湯舟に海水を張り、稚魚を放してやると、彼らは小さな海に見合った大きさの成魚となる。そうして出来た海の底にはいつの間にか深海魚が住み着いており、海底文明まで誕生している。おもちゃの岩場の上で寝そべる半裸の人魚を見ながらにやける僕は、もう三年も湯舟に浸かっていない。


posted by 泥辺五郎 at 18:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ツイッターノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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