名作パロディ路線を続けるかと思ったらそうでもなかった。
ハッシュタグ「#twnovel」を貼っても貼っても検索結果に反映されなくなってしまった。反映されていた時と同じことやってるのに。
4/21
兄のザムザを連れて散歩に出る。近所のおばさんから林檎を貰うが、兄は十六本の脚でいやいやをする。怖い者知らずの幼女が兄の背に跨り、古傷を抉っている。兄にはむしろ心地よいようで、キイキイと喜びの声をあげる。笑っていた彼女の顔が強張り、冷めた目をして兄から降りた。
4/22
クラムボンが爆笑しているので今日は昼から蟹が降る。グスコードブリは火山観測を取りやめ、家で一日中発電所の設計図でも描きながら過ごそうかと考える。最近村に越してきた又三郎という少年が風に乗って舞っているので、「もうじき蟹が降るぞう」と、手を振って呼びかけた。
4/23
僕がまだ生きていた頃に植えた柿の木が今年実をつけた。鳥に啄まれる前に慌ててもぎ取ったのを、もう少年とは呼べない息子が囓る。渋みに耐えかねて吐き出す様子を見た妻が「あの人みたい」と笑い、「親父の柿か」と息子は独りごちた。ところで僕は妻の前で渋柿を食べたことはない。
4/24
この時期一日一メートル伸びる竹の子と争ってきた。下に見て優越感に浸れたのは初日だけで、二日で飛び越せなくなった。三日目には口争いでも勝てなくなった。四日目には婚約者を紹介された。結局抜いて食ったのだが、育ちすぎたせいか少し固く、茹でるのに大変時間がかかった。
4/25
床屋で顔を剃られている最中に思い出し笑いをしそうになり危ういところで堪えたものの、堪えた自分が情けなく、また笑い出しそうになる。しかし剃刀はこちらの思惑など知らず動く。いっそ切られれば楽になると思い笑ってみようとしたがもう何で笑っていたか思い出せなくなっていた。
4/26
今の妻には私の性癖を隠し続けているので、変態呼ばわりされて別れた前妻とのようなことにはならないと思う。私の性癖についてここで書くのは憚られる。ちなみに妻は産卵に戻ってきた鮭の群れの中に混ざらないと欲情出来ない体質なので、私は熊と戦うことに慣れてしまった。
4/27
中世、退廃貴族達の間でこんなゲームが流行った。向き合って剣先を相手の胸に触れるか触れないかのところで保ち、お互いを罵倒し合う。激昂して相手を刺し、傷つけると敗北となる。相手を見事逆上させ、心臓を一突きされようものなら、完全勝利者として永遠の名声を得たという。