2010年04月13日

ツイッター小説4/7〜4/13

twitterで書かれるごく短い小説。「#twnovel」のタグがつくので、実質132文字以内。twitterはログが流れるので保存が必要。
本格執筆前のウォーミングアップ、ちょっとした息抜き、素材作りとして役立つ。あまり綺麗にまとめようとして安易なオチに持っていかないように注意。twitter上では行頭の一文字開けや改行はしていない。


4/7
 うちの屋根がカラスの溜まり場になっており、時折うるさく羽音が響く。耳の遠い祖母にその音は聞こえず、目の見えぬ祖父に黒い影は映らない。庭でよろめいていた老雀が一羽のカラスに啄まれている。目の前の惨劇に動じず、老人達は平和そうに茶を飲んでいて、僕はおかわりを頼まれた。

4/8
 右目と左目でそれぞれ違う本を読んでいると内容が混ざり合う。太宰治に似た主人公がカジキマグロと格闘し、ピノキオが金貸しの老婆を殺している。本の間に浮かび上がる文字列を指で摘んで僕好みに並べ変えようとしても、とりとめのないものになるばかり。だから僕はエロ本に手を伸ばした。

4/9
 腹が減っている時にキスをすると噛んでしまう。お互い空腹の際は噛み合いになることも。そうなれば唇に拘る必要もない。彼女の豊かな腹を噛むと歯が滑る。彼女は僕の浮き出た肋骨を折りたがるように噛む。やがて空腹を満たすために本物の食事の用意を始めると、性欲など消えていて。

4/10
 愛していると一度も口に出して伝えたことがなかったので、愛してる、愛してなかった時がない、愛さない理由が一つもない、にゃにににぇぬ、などと最後は猫語でとにかくラブコールを送ってみたのだが、猫のヨシコは尻尾を振ることもせず、飯をくれ、と前脚を上げて催促するばかりで。

4/11
 僕は愚痴をこぼしたことがない。苦しみも逆境も楽しんでしまい、心病むことがない。しかし肉体と精神の傷が致命傷に達していることにも気付かず楽しんでしまい、ある日あっさりと死んでしまうかもしれない。そんな時はどうか何もかも忘れて欲しい。僕はかつて生きた。ただそれだけだ。

4/12
 手が滑り、ホースが暴れ、長靴の中に水が入り込む。靴下濡れたままで冷房の正面に立ち続け、ひたすら漬け物をパッケージングしていると、それはもう寒くなる。次々と継ぎ足されていくキムチは無限のように盛られ続けていて。「残業行けん?」と聞かれ僕は笑顔で「九時までなんで」と。

4/13
 工場跡地に捨てられていた赤子の泣き声が、二日続いた雨の後止んだ。けれど街には相変わらず大人達の泣き声が響いている。娼婦になりたいと呟く爺さんの上着についた血はまだ真新しくて、後ろを歩く黒犬の口は赤く濡れている。眠てえな、と誰かが呟き、死にてえな、と誰かが引き継ぐ。


posted by 泥辺五郎 at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ツイッターノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月06日

短編考


短編集のタイトルをざっと眺めていたら、ほとんど記憶に残ってないのがあったりしてびっくりした。うろ覚えなのはうろ覚えのままに、簡単なあらすじ紹介と、書いたきっかけなどを書いてみます。

「泥辺五郎短編集」

「殺されたヒョウのいる檻の中で」(珠玉のショートショート企画参加作品)
朝一でヒョウ舎に行ったらヒョウのリルが殺されていた。慌てて普段のヒョウ担当である倉浜さんに電話したら「俺が殺した」とのこと。密室心理サスペンスホラーアクション。
これは企画参加作なのでよく覚えてる。原型を書いたのはかなり前のことなので、その時点から頭の隅にこびりついていた、というのもある。

「一番センター高崎はそこそこ足が速い」(近未来野球小説)
客の少ない未来のプロ野球で、ボロボロの球場でプレイしている選手たちが、一瞬少年時代の輝きを取り戻すとかそんな感じの話。
これを書いたきっかけが全く思い出せない。

「雛(ひな)を拾う」(近未来雛拾い小説)
ヘドロにまみれた川の横を歩いていると、マンションの屋上からB-29の雛が落ちてきた。ハートフルメルヘン。
割と覚えてる。初めは漫画にするつもりで絵的にいろいろ考えていたせいだろうか。とても描けそうになかったのと、やっぱり自分は漫画を描きたいわけではないのだなと気付いたのも大きい。

「春江さん」
春江さんは町のアイドル。みんな春江さんが大好き。春江さんを巡って起こるドタバタラブコメ。
一日ネタ出し十個とかやってた頃に生まれた作品。太宰の「駆け込み訴え」的なのをやりたかった。語りかける文体が良かったのか、反響が大きかった作品。

「夜の夜の夜」
ほとんど覚えてない。よく眠れない頃に書いた、暗いところでなんか化物が出てきて、的な……。

「腐食住」
腐っていく家の中で半ば腐ってる作家が腐ってない編集者に原稿を取り立てられる話。
亡祖父宅の隣の空き家が、天井が抜けて雨が入り放題で本当に腐りかけてる。

「ぶんげいっ」(文芸部活動記録小説)
文芸部に入ろうと決心する内気な少年がキックボクシング部の美少女と出会いメキシコで死亡フラグを立てる話。
本格派文芸部小説を始めようとしたけど、キックボクシングパンチラ褐色美少女を出した時点で方向性が変わってしまった。

「美術館に絵でも見に行こう」
THE MAD CAPSULE MARKETS「DESTRUCTION AT THE DOOR」という曲の歌詞から着想を得た作品。文体に任せたようなやり方で、確か二重人格の主人公が病院を抜け出して美術館に絵を見に行こうとする話。「歌物語」シリーズをやろうと思っていたもののほとんど書いてない。

「古い話(短い話三編)」
芥川っぽい掌編三作。「鬼」「猫」「人」とかだったかな。芥川というより内田百間というか、杉浦日向子の「百物語」みたいなのだったかもしれない。

「人亀の産卵(エッセイ)」
書いた覚えすらなかったのにびっくりして、この記事を書くきっかけになった作品。別に嫌いとか思い入れがないというわけでもないのに不思議。それだけ自然体で書けていたということかも。

「浮妻」
蚊柱の上で寝ていた妻を起こしちゃう話。この頃よく漫画を古本屋に売りに行っていた。

「フルチンマリオ」(一枚絵文章化企画参加作品)
企画参加作なので記憶は確か。ルイージが死んだ後、世間と上手く折り合いをつけられないでいるマリオがピーチとクッパの幸せを祈る話。
まだ話のついてない絵をスライドショーで眺めながら、自然と物語が湧いてくる絵を物色していると、マリオが残った。マリオは初代とマリオカート以外あんまりまともにプレイしたことないので、ルイージと仲の良いデイジーの存在とか知らなかった。

「ガンダム由美子」
この辺りから最近なので忘れていることはない。朝起きたらνガンダムになってた由美子がフィンファンネルを持て余しながら出勤中、後輩のリ・ガズィにキュンとなる話。

「新しい家族」
最近だけどほとんど覚えてない。調べてみると「私 家族 SF 味覚」という、サイコロを使ったお題創作だったらしい。覚えてない=失敗、嫌い、といったことでもない。
最初の形を見るために、テキストファイルを保存してあるフォルダを見に行くと、結構な量ネタ出ししてあるのや、勢いよく冒頭を書き出しているテキストファイルが結構あったのだけど、ほとんど記憶に残っていなかった。別に駄目とかじゃなくて純粋に忘れてるのがたくさんある。気が向いたら拾っていきたい。
でもたとえば「殺された〜」がずっと記憶の片隅に残っていた素材だったように、忘れた素材はそのままほとんど忘れてしまうんだろうけれど。

「二十時間目の筆おろし」
以前三年間ほど一日一編詩を書き、精選したのを詩誌に投稿して結構掲載されていた。今は気持ちが詩に向いていないというか「詩壇で出世したところでどうにもならない」という気持ちが強く、詩作の習慣を止めるとめっきり書けなくなってしまった。でも「詩で人に認められる」ことがどうでもいいだけで、自分で書くのは嫌いじゃないので、最近はたまに気楽に書いてる。でも発表のアテはないので、小説の素材として利用したり。これはそのうちの一つ。

「夜光髪」
夜に髪が光るという夜鷹を買いに、荒野を走る男の話。
以前書いたけど、広辞苑の「夜光時計」の項を読んで思いついたもの。

「アクロスティック」
言葉遊びから。

「裸にバスケットシューズ」
別名義で短編エロ小説集として登録しようかと思ったけど、次が思いついてるわけじゃなかったのでこちらに。中学時代のバスケ部経験を生かして書いた本格派バスケ小説。
一人称小説の場合は、嘘を書きたくないという一心から結構素というか地が出るのだけれど、三人称小説となると、サービス過剰になる気がする。「食いタンのみのタモツ」も三人称で多人数が出てくる小説だった。でも三人称小説で短くまとめようとするとどうも機械的になってしまう。三人の主要人物に均等に発言機会など与えられており、流れがモタモタしている。


全体的に思うことは、短編で自分はあまり新しいことに挑戦していない。新都社以前、別名義で書いていた頃の焼き直しになってしまっているものも多い。
そろそろ、頃合いなんだろうと思う。いろいろ。

あといつやめるかわからないけどツイッター始めてました。http://twitter.com/dorobe56u
posted by 泥辺五郎 at 21:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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